「……んっあぁ……だ、め……キヨ…」
「あァーん?何言ってんだ?腰、振ってんじゃねェーかよ」
「バ……か。ぁ、ん……あぁ」



淫靡な声が部屋に響く。ベッドの軋む音と甘い吐息のみで…。
好きなように攻め立てられ、喘ぐ声さえままならない。互いの交わりからいやらしい音がでる。
腰をしっかりつかまれて逃げる事の出来ない身体はただ、その快楽に溺れるだけ。



『ズチュ……ヌチュ…』



「清春っ…おね、が……。はぁ……ん」
「どうした?」



悪魔の笑みを浮かべる清春にうっとりしながら潤んだ目で訴える。
もう、どうにかして終わらせて欲しい。
勿論、彼がそんな事を許すはずはないが、身体はもう限界。
だから…。



「……!!」
「……はっ…ん。ね、……も、イキたい…」
「……っく」



中を締め付けてやると、清春が不意をつかれて息を漏らす。
これで、終わりになると思っていた。



「んだョ…。もっと俺様と遊びたいのかョ。安心しな!朝までたっぷり愛してやる」
「うそっ……あ、あぁぁっ……」



効果絶大。本日も朝まで寝られませんでした。







「オイ、
「ん……清春?」
「俺は練習に行ってくる」
「もう…そんな時間?」



体を起こそうとすると、肩を押されてベッドへ逆戻り。
清春の方を不思議そうに見ると、真剣な表情が目に映る。



「もう少し寝てろ」
「え?」
「そんな身体で動けンのか?」
「…動けない」
「キシシシッ。大人しくいい子にしてな、子猫ちゃん。行ってくるぜ」



チュッとリップ音をたててキスされて、清春は練習に行ってしまった。
今日はバスケの練習日だ。どうやら私は出かける時間まで眠っていたようだ。
と言っても、朝まで話してもらえなかったんだけど…。
アメリカに来て数ヶ月。ここ、しばらくはずっとこんな調子。
毎日毎日、組み敷かれて朝まで…。



「はぁ…」



毎日で正直体力がもたない。
年齢じゃなく、清春の体力がありすぎるんだ。
思わず溜息が漏れてしまう。最近よく思うのだ。
自分は身体だけなのではないか…と。
清春がいなくなったマンションの一室、ベッドの上で私は丸くなった。







昼過ぎにやっと重たい身体を起こし、軽く食事をとる。
今日の練習は夕方までだったから…お腹をすかせて帰ってくるかな?



「何、作ろう…」



元気が出なかった。脱力感の方が強くて、なにもやる気になれなかった。
清春は私をどう思ってるんだろう…。
そればかり考えて頭から離れない。



「買い物行かなきゃ…」



冷蔵庫には大した物も入ってないし、これじゃ何も作れない。ついでに気晴らしでもしてこよう。
そう思って、出かける事にした。







夕方、部屋に帰るとシャワールームから音がして、清春が帰ってる事に気付く。荷物を中に運んでいるとシャワールームの扉が開き、ドアから清春が上半身を出していた。




「おかえりなさい。練習お疲れ様」
「…?」
「お腹空いたでしょ、ご飯作るね」



笑ったつもりだけど笑えてたかな?
台所で料理を作り始める。日本にいる時よりも料理はかなり上達した。
清春が容赦なく「マズい!」「食えるか!」って怒って捨ててしまうから、頑張って練習した。
今では食べれるようにまでなって……嬉しくて…。




「清春?危ないから離れ…」



名前を呼ばれると、後ろから抱き締められていて…。
包丁持ってるから危ないと言おうとすると、抱き締める力が強くなる。



「何、泣いてンだよ」
「…?」
「ったく、何を一人で考えこんでんだァ?」
「…キヨ、ハル」
「どうした?」
「私……」



どうやら、清春にはバレバレで、考え込んでいる私の事なんてお見通しで…。私は包丁を置いて、泣いてしまった。






ソファーの上で、さっきと同じように後ろから抱き締められたまま、私はしばらく泣いていた。
清春になだめられて、ようやく落ち着く。



「んで、何考えてたんだ?」
「……」
ちゃ〜ん?」
「私…清春が好き」
「んだヨ、いきなり」
「清春は…?私の事…どう思って」



清春は私に言葉を返す前に、キスをして口を塞いでくる。触れるだけでなく、甘く、深く、大人のキス。



「んっ……んふ…」
「俺様は愛してンだよ。毎晩あんだけ可愛がってやってンのに、まだ足りないとか言うんじゃねェだろォーな」
「ちがっ…。毎晩、その…朝までするから……体、だけなのかなって」
「ブァーカ!愛してるに決まってンだろォ」



その後はいつものコース。



「っあぁ、キヨ……もぅ…」
「今日は優しくしてやるよ、
「あぁっ……んぁあ」
「愛してる」







「……」
、腹へらねぇ?」
「……」
「何だヨ!昨日は優しくしただろ!ったく、ブチャイクな顔になってるぞ」
「優しくって…結局朝までじゃない…!」
「キシシシッ。それだけ愛してンだよ」
「……、もう知らない!」