「……ん」
「………」



陽の光がまぶしくて、目を開けると、まだホワホワしていてあまりハッキリ見えない。
やっと視界がはっきりしてくると、目の前には優しく微笑んでいる瑞希の姿…。



「おはよう」
「んー…みず、き?」
「まだ眠い?いいよ、もう少し寝ても」



瑞希の腕に抱かれながら心地よい気分になる。
ん…でも、何で瑞希が私のベッドにいるの?



「瑞希!?」
「うわ…。びっくり、した」
「な、何で瑞希が…」
「何でって…。覚えてないの?」



昨日の夜は仕事が終わって帰ってきたら、瑞希が部屋に遊びに来て…。
一緒にご飯を食べた後、テレビ見て、お風呂に入って…。



「あ…」
「思い出した?」
「…ぅ………」



そして自分が今、何も着ていない事に気がついて、布団を深くかぶった。勿論、瑞希もズボンしか履いてなくて…。
一気に恥ずかしさが押し寄せてくる。



「可愛い可愛い」
「…ぅー」



私の頭をポンポンと撫でる瑞希。
こういう事が今まで無かったわけではない。だからここまで恥ずかしがる事もないのだが…。
慣れるわけでもない。朝起きたら超美形の瑞希が目の前に……。



「トゲー!」
「ん…?どうしたの、トゲー…?お腹、空いた?」
「トゲ、クケー」
「はいはい。も何か食べる?」
「う、うん」
「待ってて」



頬に軽くキスをして、瑞希はベッドから出てキッチンへ…。
ソファーに置いてあるシャツを羽織って、キッチンに立つ。
本当、何をしても絵になる……。



ベッドの傍に落ちている服を着るとトゲーが方にペたっと張り付いてくる。



「トゲー」
「どうしたの?トゲー」
「トゲー、ダメだよ。は僕の」



恥ずかしい台詞をサラッと言ってしまう。テーブルに簡単な料理を並べながら私に微笑んだ。



「できたよ」
「うん…」



ゆっくりとした朝。2人きりで朝ご飯を食べる。
いつもはバタバタしていて、忙しいからこういう時間がとても楽しい。
私が料理を食べていると、瑞希の料理が減っていない事に気付く。顔を上げるととてもニコニコしながら私を見ていた。



「どうしたの?」
「…が、可愛いなぁ……って」
「え?」
「可愛い可愛い…」
「さっきから、瑞希ってばからかって…」
が気付いてないだけだよ。ね、トゲー」
「トゲー!」



2人とも同じ意見だ、と言わんばかりの表情。納得は出来ないけど、何を言っても丸め込まれてしまうだろう。



…久々に、出かけようか……」
「珍しいわね。瑞希が出かけようっていうなんて」
「見せつけたくなった」
「何を?」




またサラッと恥ずかしい事を言う……。
そんなに可愛い可愛いって言われたら、自惚れそうじゃない…。
私がそう思わなくても、貴方には全て可愛く見えてしまう。
でも、それはね……。私だって同じなんだよ?